読書

最近読了した本です。
三島由紀夫「美しい星」美しい星 (新潮文庫)
お風呂で読了。
三島という人にとっては「美しい」ということが一番大事なんだということがわかりました。
政治も文学も肉体も。
共感してしまいます。

 だが、もし人類が滅んだら、私は少なくとも、その五つの美点をうまく纏めて、一つの墓碑銘を書かずにはいられないだろう。この墓碑銘には、人類の今までにやったことが必要かつ十分に要約されており、人類の歴史はそれ以上でもそれ以下でもなかったのだ。その碑文の草案は次のようなものだ。
『地球なる一惑星に住める
   人間なる一種族ここに眠る。
 彼らは嘘をつきっぱなしについた。
 彼らは吉凶につけて花を飾った。
 彼らはよく小鳥を飼った。
 彼らは約束の時間にしばしば遅れた。
 そして彼らはよく笑った。
   ねがわくはとこしえなる眠りのやすらかならんことを』
 これをあなた方の言葉に翻訳すればこうなるのだ。
『地球なる一惑星に住める
   人間なる一種族ここに眠る。
 彼らはなかなか芸術家であった。
 彼らは喜悦と悲嘆に同じ象徴を用いた。
 彼らは他の自由を剥奪して、それによって辛うじて自分の自由を相対的に確認した。
 彼らは時間を征服しえず、その代りにせめて時間に不忠実であろうと試みた。
 そして時には、彼らは虚無をしばらく自分の息で吹き飛ばす術を知っていた。
   ねがわくはとこしえなる眠りの安らかならんことを』

大佛次郎猫のいる日々 (徳間文庫)
通勤電車で読了。
猫バカ炸裂!!

 小猫で鈴をつけて、よく庭に遊びに来るのがあった。時間が来ると、いつの間にか帰ったと見えて姿を隠し、また明日、やって来る。かわいらしい。どこから遊びに来るのかと思って、ある日、
「君ハドコノネコデスカ」
 と、荷札に書いて付けてやった。三日ほどたって、遊びにきているのを見ると、まだ札をさげているから、かわいそうにと思って、取ってやると、思いきや、ちゃんと返事が書いてった。
「カドノ、湯屋ノ玉デス、ドウゾ、ヨロシク」
 君子の交わり、いや、この世に生きる人間の作法、かくありたい。私はインテリ家庭の人道主義を信用しない。猫を捨てるなら、こそこそしないで名前を名乗る勇気をお持ちなさい。

しかし、フランス好きの日本人には猫好きの人が多いなあと思うのですが、なんでなのでしょうねえ。個人主義者だからだろうか。