日本文学

三島由紀夫禁色 (新潮文庫)」を読了しました。
ふろ読書です。

一生を女性に裏切られてきた老作家檜俊輔は、美青年南悠一が女を愛することのできない同性愛者であることを知り、この青年の美貌と肉体美を利用して、恨み深い現実への復習を企てる。俊輔の計画は、かつて自分を苦しめた女たちを破局に追いつめることに成功するが……。男色を素材にして、心理小説の世界に、<ルネッサンス的ヘレニズムの思想>を造形化した異色長編。

これは面白かった! かなり長いですが(573P)巧みなストーリー展開で、グイグイ読者を引っ張って読ませる作品です。
自分の息子が同性愛者であることよりも、元貴族の夫人と不倫しているほうがまだ耐えられると考える母親の価値観が笑わせる。
既存の価値観、大衆の醜悪さに対する嘲りに満ちた作品ともいえる。