奇人伝 フランス社会

エコール・ド・パリの日本人野郎―松尾邦之助交遊録 (玉川信明セレクション―日本アウトロー烈傳)」読了。
松尾邦之助という人は1920年代、30年代にパリに滞在したジャーナリスト。
彼の足跡を追いながら、彼と交友のあった当時パリ在住の人々も描いている。
登場するのは
藤田嗣治 画家ですね。けっこう腕っ節も強く度胸もあったらしく武勇伝あり。
武林夢想庵 小説家、翻訳家。cocuです。ゾラ全集を刊行する構想持ってたらしい。
石黒敬七 柔道十段の随筆家にしてアンティーク蒐集家。
辻潤 エッセイスト、哲学者。
金子光晴 詩人。
大杉栄 アナーキスト。パリのラ・サンテ監獄に収監されたことあり。
東郷青児 画家。セーヌ川の川辺に生えている草を食べて飢えをしのいでいたらしい。
などなどなど
当時のパリには世界中からいろんな人物が集まってましたが
日本から行ってた連中もろくでもないやつらばっかですね。
松尾氏は静岡県引佐郡引佐町金指の出身ということで、わが故郷浜松のすぐ近くではないですか。
引佐町は今年浜松市に吸収合併されてしまいました)
こんな方がいらっしゃったとは今まで知りませんでした。
この本ではパリの風俗も描かれていますが、スゴイです。
ところで、編集という面から見るとはっきり言って落第です。
OCRで読み込んでテキストデータ化したのでしょうが、ひらがなの誤字が多いです。
念入りな校正がされていません。
また、筆者がパリに行って松尾の足跡をたどっているのですが
1930年代当時のパリの描写と取材時現在の描写とが、読んでいて混同してしまう。
編集さん、もうちょっと気を使って仕事してもらいたいです。