三島由紀夫外遊日記」通勤電車で読了。

三島は三度、世界一周旅行をしている。
その2回目、3回目についてのエッセーなどを収録。
ブラジルを旅行してこんなことを書いている。

 ニュースの功罪について、僕はいろいろと考えざるをえなかった。どこの国でも知識階級は疑り深くて、新聞に書いてあることを一から十まで信じはしない。信じるのは民衆である。しかし或る非常の事態にいたると、知識階級の観念性よりも、民衆の直感のほうがニュースを超えて、事態の真実を見抜いてしまう。かれらは自分の生活の場に立って、蟻が洪水を予感するように、しずかに触覚をうごめかして現実を測っている。