岩波書店ヨーロッパ史入門シリーズの「フランス革命 (ヨーロッパ史入門)」読了。フランス革命 (ヨーロッパ史入門)
フランス革命の原因に関しては
(1)マルクス主義階級闘争理論にもとづくブルジョワ革命論
に対して
(2)修正主義者(レヴィジョニスト)による、階級闘争ではなく「開明的貴族と平民の上層部とが結合してできつつあった新しいエリートの知的・文化的事業である」
という見方がある。
それに対して著者T.C.W.ブラニングは
(1)王政が外交に失敗したことで、人心の離反し、とりわけ軍隊が国王を見限ったために、危機が革命に至った。
(2)「人々が自由に意見を交換できる場として『公共圏』が発達し、そこでは、主体的に判断を下すことのできる『批判する公衆』が成長した。啓蒙思想は、そのように公共圏が拡大するなかで展開したのであり、『公衆』の批判はしだいに、政治にも向けられるようになる。そのうえ、啓蒙思想の一端に位置づけることもできる低俗なジャーナリズムが、王室への軽蔑をあおり立てたことともあいまって、フランスでは下層の民衆をも含めて、多くの人々が王政に対してセを向けるようになった。」
そして、「外交上の失策を重ね、専制と非難され、学術文化を指導する力もなくした王権は、醜聞にさらされながら打倒されることに」なったのである。


「歴史」って、すごく主観的な学問だよね。
見るものの立場によってガラリと変わる。
日中戦争、太平洋戦争に対する歴史教育も10年後には全く変わっているかもしれないなあ。