桶川市にあるさいたま文学館で開催されていた
永井荷風展に行ってきました。

永井荷風のことを、そんなにはよく知りません。
いちお「ふらんす物語 (岩波文庫)」は読んだことありますが
あまり印象に残っていない。
若いころゾラに傾倒して自分で翻訳したものを出版したことがあるとか。
しかし、晩年の作品は花柳界の女性を描いたものが多く
自らを「戯作者」と称していたこととか。
ゾラに傾倒した彼が、どうして「戯作者」になったのか
というのが疑問だったこともあり、今回の展示を見にいきました。
はは〜ん、なんとなく分かりました。
若いころ、明治30年代は、社会の暗黒面を描くゾラの作品に感化され
自身もそんな作品を書いたりしていた。
アメリカ、フランスでの生活を経て著した「ふらんす物語」が
社会風紀を乱すとして発禁処分を受けたり、
日本にいびつな形で取り入れられ根付いてしまった
自然主義」に嫌悪感を抱いたりして
ここら辺から、方向転換を始めていったようです。
こういったことは文学史的にもおもしろいし
自称ゾラ研究者としても大いに興味を引かれるところです。
展示のなかに雑誌「スクリーン」のインタビュー記事があって
映画「ナナ」について荷風が語っています。
荷風はゾラの映画化作品をずっとみてるようで
花柳界の女性を描くにあたっても
「ナナ」がバックボーンとしてあるんだなあということが感じられる
非常に貴重な資料でした。
ゾラ研究にあたって永井荷風は外せない人だと確認した次第。