熊野紀行

sampobito-sola2007-01-02

12月30日、31日、1月1日と、紀伊半島を一周してきました。
31日は、世界遺産熊野古道の基点である熊野市に泊まって年越しをしたわけですが、
予備知識もなんももたずに行って、実は熊野ってどんなとこなの?
てな感じの旅でした。
で、実家に帰ってきてから、復習したりして。
まず読んだのは、そういえば熊野っていえば熊楠じゃん、てことで
漱石事件簿 (新潮コミック)
漱石を中心として、熊楠、鴎外、啄木ら明治の文人たちが登場するマンガ。
熊楠は、ロンドン滞在中にピルトダウン原人の偽造人骨の謎を暴いたり、
かっけの原因がウィルスであると固執した鴎外を批判したり、
徹底して自由な精神をもった天才として描かれています。
物語の最後は、大逆事件によって始まった暗黒の時代の幕開けを描き、
そんな時代がまたやって来かねない今の時代の危機を暗示しています。


掲載した写真、「大石誠之助宅跡」の碑ですが、
31日に紀伊田辺で途中下車して、ぶらぶら歩いているときにたまたま撮影したものです。
じつは大石誠之助という人物がどんな人か、さっぱり分からなくて
忠臣蔵の関係かな、などとトンチンカンなことを思いつつ、
とりあえず、ケータイのカメラに収めたものです。
しかし、その後調べたところ、自分の無学浅学不見識さ加減に恥じ入りました。
大石誠之助というのは、大逆事件天皇暗殺謀議に加わったという冤罪で処刑された人なのでした。
もともとはお医者さんとして、紀伊の地で開業していて、
貧しい人たちにも高額を請求することなく治療を施し、大変慕われていた方であるという。
詳しくは→http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/senjin/ooishi.html
大逆事件は決して過去の事件ではございません。
いま、共謀罪などが制定されようとしている現在、
国家権力の都合のよいように犯罪者がまつりあげられ、
逮捕監禁されていくような時代が来ようとしていることについて
私たちは、もっと危機意識をもっていかねばいけないのではないでしょう。


熊楠関係で読んだのはほかに
猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)
こちらは熊楠の伝記的マンガ。
熊楠の飼い猫が語り役となっているから猫楠。
熊楠の天才っぷり、奇人ぶりがよっく分かります。