浜田寿美男著「自白の心理学 (岩波新書)」読了。
自白の心理学 (岩波新書)
冤罪事件において、なぜ被疑者はうその自白をしてしまうのかについて
心理学の立場からアプローチした書。

 無実の人がうその自白に落ち、さらにうその犯行ストーリーを語るというのは、心理的にきわめて異常な事態であるように思われている。しかし犯人として決めつけられ、取調べの場で追い詰められ、決着をつけることを求められたとき、誰もが陥りうる、ある意味で自然な心理過程であることを知っておかねばらない。異常があるとすれば、それは被疑者の心理ではなく、当の被疑者を囲む状況の側の異常なのです。


まさしく、日本の警察、検察の取調べ方法が異常なのである。
これを改善するためには、どうしたらよいか。
簡単です。
取調べの状況を可視化する、
すなわち、動画なりせめて音声なりで記録し公開すればよいのです。
すでにこの方法は欧米諸国で取り入れられているし
日弁連も再三にわたって要求していますが
日本の警察が応じる気配はありません。
彼らにしてみれば、仕事がやりにくくなってしまうからでしょうか。
しかし、冤罪をなくすためには、これが最も手っ取り早い方法であり、
まともな神経があるのならば、警察は即座に導入すべきです。
もっとも、まともな神経をお持ちとは一切思えないので
実現にはまだまだ時間がかかるでしょう。


ところで、本書を読んでいて気になったのは
取調べる刑事が、被疑者のことを犯人だと思い込んでいることが
うその自白を生み出している一因としていましたが
真犯人を上げたいという正義感の勇み足として
そのような状態になってる場合もあるでしょうが、
実際には、被疑者が本当に犯人であるかどうかということよりも
警察のメンツだったり、自分の個人的都合だったり
そんなことで犯人をでっち上げるような刑事もいる
ということも現実ではないだろうかと思いました。