宇津野光緒著「法廷ドキュメント 23の事件と被告たち」読了。
法廷ドキュメント 23の事件と被告たち
書名どおり、23の刑事事件の傍聴記録。
ややゴシップ的興味をそそるような筆致も感じられるが
日本の刑事事件の問題点を浮き彫りにしつつ
被疑者の側、被害者の側
そして彼らをとりまく日本の社会の
心の闇の部分に分け入ろうとしている。
かなり生々しい供述内容が掲載されている。
1つの事件でも、じっくり掘り下げて考えていけば
社会総体の矛盾に突き当たる。
しかし、毎日毎日そんな事件に向き合っていると
だんだんと感覚が麻痺していってしまう。
それが、恐い……。
最終章で取り上げられている痴漢冤罪事件は
それでもボクはやってない」のモデルともいえる事件。