新しい業務に就いて約1ヶ月。
自分にできるかと不安を抱きつつも最初は一生懸命がんばってみたけれど
どうにもこうにもこの仕事は自分には向いていない。
超がんばれば、そりゃできなくはないだろうさ。
でも、この仕事をずっと続けていくということに楽しみを感じられる気がしない。
日中は仕事が早く終わることをずっと望み
家に帰れば酒を飲んで眠ってしまう。
しかし、今回の配置換えには社長の長年の野望が託されていて
自分もその枠の中に組み込まれる形での異動だった。
これを蹴るということは、退職も覚悟しなくちゃならない。
それなりに居心地のよさを感じていた会社だし
転職となると年齢的にもハイリスクではある。
そんな感じでここ1週間、かなり悩んできたけれども
今朝、異動について再考してもらいたいと上司に申し出た。
もちろん、だめだと言われたら退職するつもりで。
(辞表はまだ書いてなかったけど、書いておけばよかったな)
早速その日のうちに上層部に上げられて
夕方、事情聴取を受けた。
結果、以前からやっていた業務に戻ること、
ただし、これまで以上に成果は上げていかないといけないこと
ということになった。
ちょっと拍子抜けなくらいに元の業務に戻れてしまった。
わがままは言ってみるものだね。


思えば自分は、好き勝手なことばっかりやって生きてきたのかもしれない。
同年代の連中がさまざまな重圧のもとに心身ともにすり減らしている中で
ほんとにチャランポランなやつだと思う。
外見的に年齢より随分若く見られることが多いけど
単に苦労を知らないクソガキだからなんだよね。
いつかそのツケを払うことになるのか、
それとも、ああ面白かったと人生を終えることができるのか
分からない。

生きるということは、運命の見地に立てば、まるきり詐欺にかけられているようなものだった。そして人間存在とは? 人間存在とは不如意だ、ということを、本多は印度でしたたかに学んだのである。

三島由紀夫暁の寺」より