エミール・ゾラ著、朝比奈弘治訳「パリの胃袋 (ゾラ・セレクション)」読了。
パリの胃袋 (ゾラ・セレクション)
ルーゴン・マッカール叢書第3巻であります。
パリ中央市場が舞台で、野菜、肉、魚、果物、チーズに残飯、
ありとあらゆる食べ物が出てくる、出てくる。
それがまた、おいそうだったり、グロテスクだったり、
臭いがすごかったり、味覚、視覚、嗅覚にバンバン訴えかけてくるゾラの描写は、やっぱりスゴイと思う。
主人公フロランは、ゾラ作品には珍しい心優しく誠実な人物。「居酒屋」のグージェを思わせる。
ゾラはあらゆる階級、階層の人間像を描こうとしたわけだが
この作品で焦点が当てられているのは中産階級
市場とその周辺で商売するプチブルジョアの心理を見事に描いている。
とことん、醜く!!
「まっとうな奴らというのは、まんて悪党なんだ!」